有名小学校「お受験」の実態は?

慶應幼稚舎、早実初等部、聖心、白百合、筑波大付属…

厚生労働省によると、2012年の合計特殊出生率は1.41だった。前年を0.02ポイント上回ったが、1980年代半ばの1.8台に比べ、依然として低い水準なのは変わりない。

だが、少子化ゆえに、1人当たりの子どもにかける教育費はむしろ上がっている。例えば、私立小学校6年間にかかる学習費(給食費や塾など学校外活動費を含)は、2006年の137.3万円から、10年には146.5万円へと上昇した。

有名国立・私立小学校の門をくぐるには

俗に「お受験」といえば、有名小学校への受験を指す。首都圏で主に難関とされる私立小は、男女共学では、慶應義塾幼稚舎、早稲田実業学校初等部など。男子校では、暁星小学校や立教小学校があり、女子校では聖心女子学院初等科、雙葉小学校、白百合学園小学校、東京女学館小学校、東洋英和女学院小学部などが挙げられる。全国には200以上の私立小が存在する。この中には聖心のように、小・中・高一貫校で、中学や高校で生徒を募集していないところもある。

一方、国立小では、東京学芸大学附属竹早小学校、お茶の水女子大学附属小学校、筑波大学附属小学校などがある。いずれも共学だ。こちらは特に都心部での数自体が少ないため、志願倍率は2ケタに達するところも少なくない。

実際の試験内容は?

12年に最も話題になったのが、第1期生を募集した慶應義塾横浜初等部だ。「第二幼稚舎」と騒がれ、慶應義塾大学が東急田園都市線江田駅に小中一貫高を開校するはずだった。が、「慶大が08年のリーマンショックに伴う資産運用失敗で巨額損失を出したため、計画が一時頓挫した」(学校関係者)。その後、小学校のみ遅れて開校となったのである。同小の志願者数は1297人・合格者は108人で、倍率は12倍と、慶應ブランド欲しさに親たちの人気が殺到した。

11月に試験。ペーパーに行動観察、運動、さらに面接も

試験の傾向は学校によって異なるが、ペーパー重視の小学校は概してレベルが高い。たとえば、暁星小では図形構成などで応用力が問われ、東洋英和小学部では運筆や筆圧などの基礎力がチェックされる。成蹊小学校では長い話の記憶力が要るなど、大人でも身構えるような内容だ。

もちろんペーパー試験だけではない。行動観察では集団行動における強調性や積極性が求められる。運動能力のテストも、風船運びや体操、ボールゲームなど、いずれも必須のところが多い。さらには面接もあり、親子面接のほか、成城学園小学校のように、両親面接を重視する学校もある。

試験の時期だが、都内の私立小の場合、10月中に願書を提出、11月1日(今年は木曜日)に試験というのがパターンである。有名校との衝突を避け、あえて2日(金)にずらす学校もある。試験の1週間後くらいに発表、そして手続きという段取りだ。

ちなみに試験より前、どの学校を受けるかの段階では、7月に学校説明会を設けるところが多い(説明会への参加・不参加は試験の合否とは関係ない)。中には、6年間同じクラス、同じ環境というところもある。ある有名校を受験した母親の1人は、「集まる保護者の雰囲気、トイレやロッカーの使用状況、グラウンドの様子なども判断材料になる」と振り返る。

入学したら、いくらかかるのか?

無事合格したら、その後は“先立つもの”が要る。聖心の13年度の初年度納入金は、入学金27万円、年授業料49万6800円、年施設維持費23万2800円、年後援会費7万2000円で、合計107万1600円。これは最低額であり、ほかにも寄付金などの出費が必要だろう。他校でも100万円以上はかかる学校が多い。

他にもさまざまな出費を覚悟しよう。『慶應幼稚舎』(幻冬舎)を記したアンテナ・プレスクールの石井至代表によれば、「慶應幼稚舎の制服は、仕立て服の老舗といわれる望月洋服店や高橋洋服店が指定される。夏服・冬服ともにオーダーメイドでは6万円程度。またランドセルは、慶應義塾のペンの校章が付いているもので、大峡(おおば)制鞄が業者に指定されている」という。

気になる進路だが、大学付属小の場合は、ほとんどが中学・高校、さらに学部さえ問わなければ、大学までエスカレーター式で行けるところが多い。のびのびした学校生活を送れるのは確かだ。ただし、高校や大学で新たに生徒を募集する学校では、受験戦争をくぐり抜けて入学した“外からの”生徒に対し、学力面での差を感じることも少なくない。実社会に出ればなおさら競争にさらされるだろう。有名小学校入学=人生における成功への切符、とは言い切れないことも、また頭の隅に入れておきたい。

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