小学お受験 大にぎわい

県内の私立小学校入試が22日、始まる。慶応義塾横浜初等部(横浜市青葉区)が今春開校し、少子化の中で昨年は受験者が久々に増えた。2015年には日大藤沢小学校(藤沢市)も開校。県内の私立小の構図も大きく様変わりしようとしている。

 「慶応は生まれ月別に試験をします」。横浜市青葉区の幼児教室「アリスこどもスクール」の5歳児クラス。子どもたちがボールの的当ての練習をする中、野笹玲子代表の言葉に、母親たちが一斉にメモを取った。

 5歳児47人のほとんどが慶応を受験する。初年度納付金は186万円(13年度実績)。他校のほぼ倍だが、次女を受験させる女性(44)は「中学や大学の受験だと、親も塾の送り迎えなど大変。ここで入れば最終学歴『慶応』が手に入る」と魅力を話す。

 慶応は昨年、108人の定員に1297人が志願し、男子11・6、女子12・6倍の高倍率だった。

 小学校受験情報サイトを運営するバレクセルの調べでは、昨年は他の私立小の志願者も増えた。県内の私立小30校のうち、慶応以外で志願者数を公表している14校では2008年の2989人から11年は2304人と減少していた。それが昨年は2446人と増加に転じたという。

 大手受験塾「ジャック幼児教育研究所」(本部・東京)の大岡史直理事は「不況や少子化だからこそ、教育にお金をかけようと考える人もいる。慶応は、それまで小学校受験を考えていなかった人にまですそ野を広げた」と指摘する。

 15年春には、日大も付属小を藤沢に開校する。坂庭真吾・開校準備室長は「藤沢周辺には共学の系列校を持つ私立が少ない。横浜や川崎からは登校が下りになるのもメリット」とPR。エスカレーター式に大学まで進学できるが、日大以外の進学を希望する生徒のサポートもするという。

 一方、志願者の減少に歯止めがかからない学校もある。特に東日本大震災以降、津波の心配で沿岸部が敬遠される傾向にあり、定員割れの学校も出た。

 こうした中、中学受験なみの積極的な広報スタイルが各校に広がっている。オープンスクールや幼児教室での説明会を行う学校が増え、昨年からは県私立小学校協会主催の合同説明会も始まった。今年4月に開いた2度目の説明会には21校が参加した。

 洗足学園小(川崎市高津区)は、中学受験の実績を細かくHPに記載。女子なら系列中学に進学する権利を持ったまま他校を受験できることもアピールする。吉田英也校長によると、「中学で再度、慶応を目指す」という家庭にも選ばれているという。

 「アリス」の野笹代表は「慶応の開校で、既存の学校が刺激されている」という。「特色を出したり、広報が進んだりすることで、私立全体の底上げにつながる。子どもにとっても学ぶ場の選択肢が広がる」と話す。

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